眼球の奥には光を感じ取るための網膜がありますが、これは光を感じ取る神経が非常に多く集まってできたものです。
眼球の内部には水分が豊富に含まれており、網膜、神経と触れ合っています。
ところで心臓から送り出される血液が血管を圧迫する力を血圧と呼びますが、眼球の中の水分が眼球や網膜を圧迫する力を眼圧と呼びます。
(わかりやすく眼圧を「目の硬さ」と呼ぶこともあります)
眼圧に網膜をかたちづくる神経が圧迫されるとその神経が担当していた部分の働きが失われ、ものが見えない場所(視野障害)ができてしまいます。
この病気を緑内障といいます。
失われた神経を回復する有効な治療法はなく、早期発見と早期治療が大事な病気です。
日本人の眼圧は多くの方で20mmHgを超えないとされ、いわゆる正常範囲とされていますが、この正常な範囲の眼圧でも緑内障になる場合があります。正常眼圧緑内障と呼びます。
日本人の緑内障の多くは正常眼圧緑内障だとされています。
現在は眼圧を下げることが緑内障の進行を抑える効果が期待できる治療法とされています。
緑内障の視野障害のは多くは目立ちにくいところから始まり、ゆっくりと進行するため自分では気付きにくいです。
片目だけ視野が狭くなったとしても、もう片方の目が補うことも関係しています。
視野障害が進んで見えないところが大きくなって初めて視野が欠けていると感じる場合もあり、日常生活の中で緑内障を早期発見することは難しいとも言えます。
人間ドックや健診で「視神経乳頭陥凹拡大の疑い」、「緑内障の疑い」という結果が出た場合は、眼科での精密検査をお勧めします。
① 視力検査 | 眼科の基本となる検査です |
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② 眼圧検査 | 毎回の診察で眼圧を記録することが緑内障治療の第一歩です |
③ 眼底検査 | 神経の障害されている程度の確認や、他の病気が無いかを調べるためにも重要です |
④ OCT検査(眼球の奥;眼底の写真撮影) | 眼球の奥の写真で緑内障の初期変化が無いか、または程度はどうか確認できます |
⑤ 視野検査 | 定期的に視野検査を続けて緑内障が進行しているか、治療効果が出ているかを判断します |
点眼液を使った薬物治療が眼圧を下げるための最も基本的な治療です。
1本の目薬から始めて、眼圧の数字や視野障害の程度を踏まえながら、2種類、3種類の目薬をつけていただくこともあります。
一滴の目薬が入れば効き目を発揮できますが、点眼液ごとに効果が続く時間が異なるため、ご案内した回数をできるだけ毎日続けていただくことが大事になります。
点眼治療のみで緑内障の進行を抑えるには不十分な場合、入院での手術治療をご提案することがあります。